Eun-kyu Baek·

決済手段データを精算担当者だけが見ているなら、売上のチャンスを逃しています

その通りです。決済画面でクレジットカードを押すか、Naver Payを押すか、銀行振込を押すかを決めるのはお客様です。ブランドが介入する余地はないように見えます。

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「決済手段って、お客様が勝手に選ぶものですよね?」

その通りです。決済画面でクレジットカードを押すか、Naver Payを押すか、銀行振込を押すかを決めるのはお客様です。ブランドが介入する余地はないように見えます。

しかし、この問いには落とし穴があります。決済手段をお客様が「選んでいる」のは確かですが、その選択はランダムではありません。どのお客様がどの決済手段を使うかは、そのお客様の購入目的、購入規模、そしてリピート購入の可能性と強く結びついています。

つまり、決済手段データは単なる「決済ログ」ではなく、お客様が誰なのかを教えてくれるセグメントシグナルなのです。

実際に決済手段別にデータを分解してみたブランドは、次のような発見をしています。

  • 銀行振込のお客様のAOV(平均注文金額)がカード決済の2倍

  • 簡易決済のお客様のリピート購入率が、通常のカードより10ポイント以上高い

  • バーチャル口座決済のキャンセル率がカード決済の4倍

  • 売上1位のチャネルが、手数料を反映すると利益ベースでは1位ではない

本記事では、決済手段データで繰り返し見られる4つのパターンと、それぞれのパターンですぐに実行できるアクション、そしてLaplaceで5分以内に確認する方法までをまとめました。


まずは自社ブランドのセルフチェック

以下の質問に一つでも「わからない」があれば、この記事がきっとお役に立ちます。

  1. 自社ブランドでは、銀行振込のお客様のAOVはカードのお客様より高いですか、低いですか?

  2. Naver Payで決済したお客様と通常のカードで決済したお客様、より頻繁にリピート購入しているのはどちらですか?

  3. 先月、バーチャル口座への未入金で自動キャンセルされた注文は何件で、金額にしていくらでしたか?

  4. チャネル・決済手段ごとの手数料をすべて差し引いた実受取額ベースの利益で、チャネルの順位をつけたことはありますか?

この4つに答えられない理由は、ほとんどの場合ブランドのせいではありません。チャネル管理画面の構造に原因があるのです。

Cafe24、SmartStore、Coupang Wingの管理画面では、決済手段別のデータは精算画面に埋もれています。チャネルごとに決済手段の分類基準も異なり、管理画面ごとに個別にログインしてExcelでダウンロードし、手作業で統合しなければなりません。「気にはなるけれど、確認する手段がない」データ、それが決済手段データです。


決済手段がなぜセグメントシグナルになるのか

お客様は決済手段を選ぶとき、無意識のうちに次のような要素を考慮しています。

要素決済手段の選択への影響
購入目的(個人用 vs 大量・法人用)大量・法人購入ほど銀行振込や請求書(税金計算書)発行の要望が増える
購入金額高額になるほどカード限度額が負担に → 口座振替・銀行振込の比率が上昇
リピート購入の有無繰り返し購入するお客様ほど、登録済みの簡易決済を好む
購入デバイスモバイルは簡易決済、PCはカード・口座振替の比率が相対的に高い
購入の確信度確信度が低いお客様は「ひとまず注文だけ入れておく」銀行振込・バーチャル口座を選ぶ傾向

これらの要素が重なり合うことで、決済手段は「この注文がどのような性格の注文なのか」を示すプロキシ(代理指標)になります。だからこそ、決済手段別にAOV、リピート購入率、キャンセル率を分解すると、顧客層の輪郭が浮かび上がってくるのです。


決済手段別に見られるディメンション

Laplaceでは全チャネルの注文データを統合した状態で、以下のディメンションで決済データを分解できます。

ディメンション説明値の例
pay_method決済手段の大分類カード、銀行振込、バーチャル口座、キャリア決済、口座振替
pay_service決済サービスNaver Pay、Kakao Pay、Toss Pay、PAYCO
pg_codePG会社KG Inicis、NHN KCP、Toss Paymentsなど
pg_feePG手数料決済手段・PG会社別の手数料率/手数料額

ポイントは、これらのディメンションをチャネル、商品、期間、顧客指標(リピート購入率、LTV)と自由に掛け合わせられることです。チャネルの管理画面では「自チャネルの決済手段別売上」までしか見られませんが、統合データなら「全チャネル合計での、簡易決済のお客様の90日リピート購入率」まで確認できます。


パターン1. 銀行振込 = 大量注文のシグナル

ある生活用品ブランドの決済手段別データです。

カード決済:       AOV 42,000ウォン  |  平均購入点数2.1点
銀行振込:         AOV 85,000ウォン  |  平均購入点数5.8点
バーチャル口座:   AOV 72,000ウォン  |  平均購入点数4.2点

銀行振込のAOVはカードの2倍です。理由はシンプルで、カードの限度額や即時承認を気にせず高額決済ができる手段のため、ギフトセット、オフィスでのまとめ買い、転売目的の大量購入が銀行振込に集中するからです。

なぜ重要なのか

こうしたお客様は実質的にB2Bに近い顧客ですが、ほとんどのブランドは一般のB2C顧客とまったく同じように扱っています。大量購入のお客様に「初回購入10%オフクーポン」のメッセージを送っているようなものです。

すぐに実行できるアクション

  • 銀行振込 + AOV上位のお客様を別セグメントとして切り分ける。このお客様にはクーポンではなく、「大量購入専用のご相談窓口」「請求書発行のご案内」「定期発注割引」を提示します。

  • CS対応の優先順位を見直す。銀行振込に関する問い合わせの多くは「入金確認」です。入金確認の自動通知(KakaoTalk通知)を導入するだけで、このCS対応量は大きく減ります。

  • B2Bチャネル開設を判断する根拠として活用する。銀行振込による大量注文が月間売上の一定割合(例:15%)を超えたら、法人専用モールや卸売チャネルを別途立ち上げることを検討するタイミングです。勘ではなく、データで判断できます。


パターン2. 簡易決済のお客様はリピート購入率が高い

通常のカード:  リピート購入率28%
Naver Pay:     リピート購入率38%
Kakao Pay:     リピート購入率35%

簡易決済のお客様のリピート購入率が通常のカードより7〜10ポイント高いというパターンは、カテゴリーを問わず繰り返し観察されています。

なぜそうなるのか

決済の摩擦(フリクション)が小さいからです。カード番号を入力し直す必要がなく、登録済みの手段で数回タップするだけで決済が完了します。「また買う気はあるけれど、面倒で離脱する」というポイントそのものがなくなるのです。特に低関与・リピート購入型のカテゴリー(生活用品、食品、ビューティー消耗品)でこの効果は大きくなります。

すぐに実行できるアクション

  • 自社モールの決済画面で、簡易決済の表示順位を上位に。特にモバイルでは重要です。決済UIの並び順ひとつが、リピート購入のコンバージョンに影響します。

  • 初回購入時に簡易決済の登録を促す。「Naver Pay決済で即時ポイント付与」のようなナッジは初回購入の割引ではなく、2回目の購入のハードルを下げるための投資です。

  • リピート購入キャンペーンを決済手段で出し分ける。簡易決済登録済みのお客様には商品中心のメッセージを、未登録のお客様には「1分で決済完了」のような利便性を訴求するメッセージを送れば、同じキャンペーンでも反応率が変わります。

注意点

簡易決済のリピート購入率が高いからといって、「簡易決済がリピート購入を生む」と断定するのは難しいところです。もともとリピート傾向の強いお客様が簡易決済を登録しているだけ、という可能性もあります(逆の因果関係)。ただ、どちらの解釈であっても簡易決済の登録有無がリピート購入の可能性を予測する強いシグナルであることに変わりはなく、決済のハードルを下げるアクションはどちらの解釈でも損にはなりません。


パターン3. 売上順位と利益順位は違う — PG手数料

自社モールのカード決済:     PG手数料率2.5%
簡易決済(Naver Pay):      PG手数料率3.85%
オープンマーケット(Coupang):マーケット手数料率10.8%

同じ10万ウォンの売上でも、実際の受取額は決済経路によって97,500ウォン/96,150ウォン/89,200ウォンに分かれます。ここにオープンマーケットの広告費やフルフィルメント費用まで加えると、差はさらに広がります。

なぜ重要なのか

ほとんどのブランドはチャネル別の「売上」で成果を判断しています。しかし、手数料を反映した純利益ベースで並べ直すと、売上1位のチャネルが利益ベースでは2〜3位に後退するケースは実際によくあります。これを知らないままだと、利益の薄いチャネルにさらに広告費を投じる意思決定を繰り返すことになります。

すぐに実行できるアクション

  • チャネル×決済手段別の純利益表を月1回確認する。売上 − PG手数料 − マーケット手数料を基準に、チャネルの順位をつけ直します。Laplaceでは、pg_feeディメンションを追加するだけでこの計算が自動で行われます。

  • 自社モールでの決済を促すプログラムを設計する。自社モール限定のポイント、無利子分割払い、自社モール限定セットなどで、手数料の低い経路の比率を高めます。オープンマーケットとの手数料差が7〜8ポイントあるなら、自社モールへの誘導に3〜4%使っても十分に元が取れます。

  • 簡易決済の拡大はパターン2とあわせて判断する。簡易決済は手数料が高い一方で、リピート購入率も高くなります。「手数料1.35ポイントの追加負担 vs リピート購入率10ポイントの上昇」をLTVの観点で比較してこそ、正確な判断ができます。そしてこの比較には、決済手段別のリピート購入データが欠かせません。


パターン4. 決済手段別のキャンセル率 — 静かに漏れ続ける運営コスト

カード決済:       キャンセル率4.2%
銀行振込:         キャンセル率12.8%
バーチャル口座:   キャンセル率18.5%

銀行振込やバーチャル口座は、「注文は入ったが、まだ入金されていない状態」が存在する決済の仕組みです。入金期限内に入金がなく自動キャンセルされる割合は、カードと比べて圧倒的に高くなります。

なぜ重要なのか

未入金キャンセルは売上の損失であると同時に、運営コストでもあります。入金されない注文のために在庫が押さえられ、品切れ間近の商品なら本当に買いたいお客様が買えない機会損失が生まれ、さらに「入金したのに、なぜキャンセルされたのか」というCS対応まで発生します。

すぐに実行できるアクション

  • 入金リマインド通知を自動化する。入金期限のD-1と当日の午前にKakaoTalk通知を送るだけで、未入金キャンセル率は有意に下がります。キャンセル率が18%から12%に下がるだけでも、バーチャル口座の注文比率が高いブランドなら、月に数百万ウォン単位の売上を取り戻せます。

  • 未入金キャンセル注文の事後リターゲティング。未入金でキャンセルになったお客様は「購入直前まで進んだお客様」です。キャンセル後24時間以内に送る「ご注文の商品、在庫がなくなる前にもう一度カートにお入れしましょうか?」というメッセージは、通常のカートリマインドよりもコンバージョン率が高くなります。

  • 在庫ステータスを区別する。入金待ちの注文は確定注文とは別のステータスで管理し、仮押さえの在庫が実際に販売可能な在庫を歪めないようにします。


まとめ:パターン → データ → アクション

パターン確認すべきデータつながるアクション
銀行振込 = 大量注文決済手段別のAOV、購入点数B2Bセグメントの切り分け、大量購入専用の対応、B2Bチャネル開設の判断
簡易決済 = 高いリピート購入決済手段別のリピート購入率簡易決済の表示順位の調整、登録を促すナッジ、キャンペーンメッセージの出し分け
手数料が利益を削るチャネル・PG会社別の手数料率純利益ベースでのチャネル再評価、自社モール誘導プログラム
未入金キャンセル決済手段別のキャンセル率入金リマインドの自動化、キャンセル顧客のリターゲティング、在庫ステータスの区別

Laplaceなら5分で確認

この分析をチャネルの管理画面で行うには、チャネルごとにExcelをダウンロードし、決済手段の分類を手作業でそろえ、顧客データと突き合わせる必要があります。Laplaceでは全チャネルのデータがすでに統合・標準化されているため、ディメンションを追加するだけで完了します。

Step 1. 決済統計画面 → ディメンション追加 → pay_method または pay_service を選択

Step 2. 決済手段別の売上、AOV、購入ユーザー数、リピート購入率を並べて比較 — まずはカード決済と比べて2倍以上の差がある指標がないかを確認

Step 3. pg_fee ディメンションを追加 → 売上比率が高く、手数料率も高い決済経路を特定

Step 4. 銀行振込・バーチャル口座のキャンセル率をカードと比較 → 差が大きければ、入金リマインドの自動化から着手

Step 5. 簡易決済の比率 × リピート購入率をクロスチェック → 簡易決済の拡大や表示順の調整を行うかを判断

どこから始めればよいかわからない場合は、利益圧迫が大きいブランドはStep 3(手数料)から、CS・運営の負担が大きいブランドはStep 4(キャンセル率)から始めることをおすすめします。どちらも最初の1週間で実行可能なアクションが見つかる領域です。


決済手段を選ぶのはお客様です。しかしその選択の中には、お客様が誰で、いくら使い、また戻ってきてくれるのかというシグナルが含まれています。このシグナルを精算担当者のExcelの中だけに眠らせておくのか、セグメント戦略や利益管理の材料として活かすのかは、ブランド次第です。

Laplaceの決済統計で、自社ブランドの決済手段別パターンを今すぐ確認してみてください。上のセルフチェック4つの質問に答えが出るまで、5分もあれば十分です。