初回リピートの経済学 —「リピート購入率を上げたい」。では、どこを上げればいいのか
1回目→2回目の転換率が45%で、2回目→3回目が72%なら、問題は「リピート購入率全体」ではなく「初回リピート」です。3回目以降はすでにうまく回っているので、1→2回目のハードルを下げることにリソースを集中すべきです。

1回目→2回目の転換率が45%で、2回目→3回目が72%なら、問題は「リピート購入率全体」ではなく「初回リピート」です。3回目以降はすでにうまく回っているので、1→2回目のハードルを下げることにリソースを集中すべきです。
公開研究データ+コマースブランドのサンプルデータ · 12か月ベース · 注文 約24万件 / 購入者 約9.4万人。各パートには、Laplaceでその数字を確認する画面と設定も併せて記載しました。/
本レポートの数値は実際の取引データではなく、Laplaceのベンチマーク指標の分布を反映して生成したサンプル値です。特定の顧客企業の実際の数値ではありませんので、絶対値としてではなく傾向を把握する目的でご参照ください。
PART 01 · まず、どの画面を開くか
すべてのメニューを見る必要はありません。このレポートの数字が出てくる画面だけを選びました。
| メニュー | 画面 | このレポートのどの数字か | 優先度 |
|---|---|---|---|
| ユーザー分析 | 初回購入 / リピート購入 | ステップ別転換率(42.5% → 57.8% → …) | 1位 |
| カスタムダッシュボード | 購入ジャーニー(Sankey)チャート | ステップ別の離脱ポイント、ゴールデンタイムの累積曲線 | 1位 |
| ユーザー分析 | リピート購入サイクル | リピート購入サイクルの中央値 | 1位 |
| 商品分析 | 商品リピート購入サイクル | 商品群別サイクル(68日〜155日) | 1位 |
| 商品分析 | 商品別 初回購入 / リピート購入 | 獲得商品 vs リピート商品 | 2位 |
| コホート分析 | リピート購入率 / 離脱率 / LTV | 月別コホートヒートマップ | 2位 |
| 戦略設計 | クロスセリング | 次に何を買うか(エントリー商品の設計) | 2位 |
| 戦略設計 | ユーザーセグメント | 配信対象の作成(購入1回+N日経過) | 2位 |
| ユーザー分析 | コンバージョンターゲット抽出 | リストのCSVダウンロード | 2位 |
| P & L 分析 | マージン率 / 貢献利益率 | 割引で転換を買っていないかの検証 | 3位 |
ダッシュボードを新たに作る必要はほとんどありません
PART 02 · 初回リピートが最も難しい — 研究が裏付けた数字
自社データを見る前に、まず基準線を設定します。1.1億人の買い物客と25万のコマースブランドのデータを分析したSmile.ioの結果です。
| ステップ | 次の購入をする確率 |
|---|---|
| 1回目購入の顧客 → 2回目 | 約27% |
| 2回目購入の顧客 → 3回目 | 約49% |
| 3回目購入の顧客 → 4回目 | 約62% |
出典:Smile.io — 110M shoppers / 250K brands の分析
初回購入の顧客は4人に3人が二度と戻ってきません。しかし2回目の購入を超えた顧客は半数が3回目を購入し、その後も確率は上がり続けます。最も急なハードルは1→2回目であることが、大規模データで一貫して確認されています。
このハードルを越えることの価値も測定されています。
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リピート顧客のAOVは新規顧客より約67%高い — 58.9(Adobe)
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新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5〜25倍(Harvard Business Review)
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リテンションを5ポイント上げると利益が25〜95%増加するという古典的な研究もあります(Bain & Company)
そしてタイミング:2回目購入の約60%は初回購入から90〜100日以内に起こり、100日を過ぎると確率は10%を下回ります(Metrilo・Bluecore)。初回リピートは「いつか」起こるものではなく、有効期限のあるチャンスなのです。
ここまでは他社の数字です
PART 03 · ステップ別転換率 — 最初に開く画面
ブランドAは国内のスキンケアブランドです。自社モールと大手オンラインプラットフォームを併せて運営し、美容液・クリーム・クレンザー・日焼け止めを扱っています。使い切り型の反復購入カテゴリーのため、リピート購入が売上の根幹です。
数字を読む前に
| 年間注文件数 | 年間購入者数 | 生涯初回購入の顧客 | プラットフォーム : 自社モール |
|---|---|---|---|
| 約24万 | 約9.4万 | 71,480 | 72 : 28 |
Laplaceで見る場所 — ユーザー分析 › 初回購入 / リピート購入
設定方法
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照会期間を12か月にします。リピートサイクルが1〜2か月のカテゴリーを1か月で照会すると、リピート購入が実際より少なく出ます。最低3か月、できれば12か月です。
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ユーザーセグメントを「初回購入 / リピート購入」から「購入回数」に切り替えます。1回・2回・3回…と回数ごとに分かれます。
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指標で決済金額と決済顧客数を両方オンにします。転換率は顧客数で計算する必要があります — 金額で計算すると「1人が大きく買った」ことによる錯覚を除外できません。
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回数ごとの顧客数を前の回数の顧客数で割ります。2回 ÷ 1回 =1→2の転換率です。
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フィルター › 販売チャネルでチャネルを1つだけ選び、同じ表をもう一度出します。その理由はPART 05の落とし穴③で説明します。

| ステップ | 到達人数 | 転換率 | ベンチマーク | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目購入 | 71,480 | 基準 | — | — |
| 1回目 → 2回目 | 30,379 | 42.5% | 27% | +15.5ポイント |
| 2回目 → 3回目 | 17,559 | 57.8% | 49% | +8.8ポイント |
| 3回目 → 4回目 | 11,097 | 63.2% | 62% | +1.2ポイント |
| 4回目 → 5回目 | 7,368 | 66.4% | — | — |
| 5回目 → 6回目 | 5,018 | 68.1% | — | — |
転換率 = 該当ステップの到達人数 ÷ 直前ステップの到達人数。返金・キャンセル注文は除外。
出てきた数字の読み方
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最も急なポイントは1→2回目です。42.5% → 57.8% → 63.2% → 66.4% → 68.1%。ステップが上がるほど転換率は単調に増加し、4回目以降はほぼ横ばいになります。ベンチマークと同じ形です。
-
水準はベンチマークの1.6倍です。このブランドは初回リピートをうまく生み出せている方です。それでもなお、1→2が最大の損失区間です。
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3回目以降にリソースを使う理由はほとんどありません。3→4を63.2%から68%に上げても、影響を受ける母集団は17,559人です。1→2を42.5%から48%に上げれば、母集団71,480人に作用し、約3,900人が新たに次のステップへ進みます。

図2. 離脱総数66,462人のうち41,101人(62%)が、1→2という1つの区間で発生しています。
だから最初の問いは「リピート購入率は何%か」ではありません
次に見る画面 — 「1→2が問題」というところまではわかりました。しかし何日後に引き留めるべきかはまだわかりません。PART 04の購入ジャーニーチャートに進みます。
PART 04 · ゴールデンタイム — 何日後にリマインドするか
転換判定期間を変えながら同じ分析を繰り返すと、初回リピートがいつ集中しているかが曲線で浮かび上がります。
Laplaceで見る場所 — カスタムダッシュボード › チャート追加 › 購入ジャーニー(Sankey)
設定方法 — この順番が重要です
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データソースを注文にします。商品(基礎商品注文)にすると数字が膨らみます — PART 05の落とし穴①。
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分析単位(ディメンション)を販売チャネル・決済手段・デバイスのように注文ごとに1つだけ付く属性にします。デフォルトは「商品名」なので、そのままにしてはいけません。この1項目だけで転換率が42.5%から51.8%に変わります。
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コホートを「N回目の購入」=1にします。ここを空欄にすると「照会期間内の最初の注文」が基準になり、転換率が過大評価されます。
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最大ステップを6にし、返金/キャンセル除外をオンにします。
-
まず転換判定期間を空欄にして1回 — これが最終転換率です。次に30日・60日・90日・180日と変えながら出し直し、累積曲線を作ります。下の図3はこのように作成したものです。

図3. 最終的な2回目購入者(全体30,379人 / 自社モール5,760人)を100%とした累積比率。横軸は対数スケール。
| 初回購入後 | 累積2回目購入者 | 最終比 | 自社モールのみ |
|---|---|---|---|
| 1日以内 | 1,580 | 5.2% | 6.1% |
| 7日以内 | 3,159 | 10.4% | 13.8% |
| 14日以内 | 4,496 | 14.8% | 19.6% |
| 30日以内 | 9,296 | 30.6% | 33.2% |
| 45日以内 | 13,762 | 45.3% | 44.1% |
| 60日以内 | 16,617 | 54.7% | 52.6% |
| 90日以内 | 20,111 | 66.2% | 64.0% |
| 120日以内 | 22,329 | 73.5% | 73.1% |
| 180日以内 | 25,093 | 82.6% | 84.2% |
| 365日以内 | 29,407 | 96.8% | 98.1% |
| 制限なし | 30,379 | 100% | 100% |
出てきた数字の読み方
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累積50%を超えるのは約52日目です。初回リピートの半分は7〜8週間以内に完了します。
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発生密度が最も高い区間は15〜45日です。この31日間に、初回リピート全体の30.5ポイントが発生します — 1日平均0.98ポイントで、60〜90日区間(0.38ポイント/日)の2.6倍です。
-
90日以内に66%が完了します。ベンチマークの「90〜100日以内に約60%」と方向性は一致します。ただし「100日を過ぎると10%未満」は当てはまりません — 120日以降も27%が残っています。
-
ゴールデンタイムはチャネルに左右されません。自社モールの最終転換率は全体よりかなり低いのに(PART 05)、30・60・90日の累積比率は全体とほぼ同じです。タイミングを決めるのは商品の消費スピードで、転換率を決めるのはチャネルとCRMです。

図4. 区間別の1日平均発生量(ポイント/日)。0〜1日のバーは軸からはみ出しています — 分割注文が疑われる区間のため、PART 05の落とし穴②で別途取り上げます。
「52日」と後に出てくる「商品群サイクル76〜155日」は別の値です
ステップが上がってもサイクルは短くなりません
| 直前の購入後 | 1回目 → 2回目 | 2回目 → 3回目 |
|---|---|---|
| 30日以内 | 30.6% | 32.9% |
| 60日以内 | 54.7% | 57.9% |
| 90日以内 | 66.2% | 69.1% |
| 180日以内 | 82.6% | 84.7% |
各ステップの最終転換者を100%とした累積比率。購入ジャーニーチャートで「N回目の購入」を1と2に切り替えて2回出します。
ほぼ重なります。ステップが上がるにつれて変わるのは転換率(42.5% → 57.8%)であり、サイクルは変わりません。実務的には朗報です — リマインドの配信タイミングを回数ごとに個別設計する必要はありません。回数ごとに変えるべきなのはタイミングではなく、メッセージとオファーです。
次に見る画面 — タイミングがわかりました。ところが、これらの数字は最初はすべて違う値で出ていました。何を修正したのかを先に確認します。
PART 05 · 数字を台無しにする4つの落とし穴
ここまでの表は、最初は別の数字で出ていました。以下の4つを整理して初めて、現在の値になりました。すべて同じデータ、同じ期間、同じコホートです。
落とし穴① 分析単位を商品にすると転換率が膨らむ

図5. 購入ジャーニーチャートの「分析単位」だけを変えたときの1→2転換率。
| 分析単位 | 1→2転換率 | 水増し幅 |
|---|---|---|
| 注文(正解) | 42.5% | — |
| オプション名 | 46.3% | +3.8ポイント |
| カテゴリー名 | 48.6% | +6.1ポイント |
| 商品名 | 51.8% | +9.3ポイント |
原因は一言で説明できます。1つの注文に商品が3つ入っていると、商品単位で数えた瞬間にそれが「3回の購入」になるのです。セット・バンドル・1+1企画が多いブランドほど水増しは大きくなります。この例では9.3ポイント、つまり実際より22%良く見えていました。
デフォルト値が落とし穴です
落とし穴② サイクルの中央値が0日ならリピートではない
①を知らずに商品単位で見ると、このような値が出ます。
| 分析単位 | 1日以内に「リピート」した割合 |
|---|---|
| 注文単位 | 5.2% |
| カテゴリー単位 | 28.4% |
スキンケアブランドで初回リピートの28%が1日以内に起こるということはありえません。実際には同じカートを分割した注文か、1つの注文に入った複数の商品がそれぞれカウントされたものです。商品単位で見ると「エッセンス → クリーム」転換のサイクル中央値が0.0日と出ますが、これは一緒に買ったのであって、再び来たのではありません。
チェック基準
落とし穴③ チャネルを混ぜて見ると自社の実力を見誤る

図6. 購入ジャーニーチャートに販売チャネルのフィルターをかけて、それぞれ出しました。
| 区分 | 初回購入者 | 1→2 | 2→3 | 3→4 | 4→5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体(合算) | 71,480 | 42.5% | 57.8% | 63.2% | 66.4% |
| 大手プラットフォーム | 50,610 | 44.2% | 59.2% | 64.7% | 68.0% |
| 自社モール | 20,870 | 27.6% | 39.5% | 46.8% | 52.9% |
全体の42.5%はプラットフォームのトラフィックが押し上げた値です。初回購入者の71%がプラットフォームから流入しているためです。自社モールだけを切り出すと27.6% — 全体より14.9ポイント低く、むしろベンチマーク(27%)並みの水準です。
この差は、CRMの対象がどこにいるかを変えます。連絡先と配信の許可を持っているのは自社モールであり、その自社モールこそが最も弱い区間なのです。逆にプラットフォームはうまく回っていますが、自社が直接介入できる手段はほとんどありません。合算の数字だけを見ていると、この構造がまるごと隠れてしまいます。
販売先と販売チャネルは違います
落とし穴④ メタデータが空だと、その軸は分析できない
このサンプルブランドでは、自社モールの初回購入注文の76.4%(20,870件中15,945件)が、カテゴリー名がデフォルト値(未分類)のまま入ってきます。自社モールの商品にカテゴリーを設定していなかったためです。一方、プラットフォームの注文にはカテゴリーがきちんと入っています。
その結果、「自社モールでどのカテゴリーから入った顧客がよくリピートするか」には答えが出ません。分析ツールの限界ではなく、元データの空白です。こうした項目は分析を始める前に確認し、空であれば商品単位で迂回するか、データを埋める必要があります。
分析前の3分チェックリスト
次に見る画面 — 数字を信頼できるようになりました。次は「何で初回購入をしてもらい、いつリフィルを勧めるか」を商品単位で決めます。
PART 06 · どの商品がリピートを生むのか
1→2のハードルを下げるには、「何で最初に入ってもらうか」と「いつリマインドするか」が必要です。商品群別にリピート購入率とサイクルを合わせて見れば、両方が一度に決まります。
Laplaceで見る場所 — 商品分析 › 商品リピート購入サイクル · 商品分析 › 商品別 初回購入 / リピート購入
設定方法
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分析単位を基礎商品にしてください。「商品」にすると、チャネルごとに異なる名前で登録された商品が別々にカウントされ、細切れになります。基礎商品は、チャネルが違っても同じ製品としてまとめてくれる単位です。
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照会期間は12か月です。サイクルの長い商品(この例では最大155日)がある場合、短い期間ではリピートが捕捉されません。
-
商品リピート購入サイクル画面で、商品群別のサイクル中央値を取得します。平均ではなく中央値を使います — 平均は1年後に戻ってきた少数に引き上げられてしまうからです(この例:中央値41日 vs 平均79日)。
-
商品別 初回購入 / リピート購入画面で商品群別のリピート比率を取得し、縦軸に置きます。
-
2つの値で4象限を描きます。右上と右下で、まったく異なるアクションに分かれます。

図7. 円の大きさは購入者数。
| 商品群 | 購入者 | リピート購入率 | サイクル中央値 | AOV指数 |
|---|---|---|---|---|
| ビタミン美容液 | 26,180 | 27.4% | 76日 | 100 |
| 緑茶美容液 | 21,940 | 26.1% | 141日 | 133 |
| シミ・くすみ美容液 | 19,760 | 25.2% | 124日 | 84 |
| 鎮静美容液 | 24,870 | 23.8% | 129日 | 87 |
| 高濃度エッセンス | 16,540 | 20.8% | 132日 | 95 |
| クレンジングオイル | 15,320 | 16.9% | 155日 | 69 |
| 洗顔フォーム | 11,280 | 10.4% | 149日 | 62 |
| 日焼け止めクリーム | 16,690 | 7.7% | 128日 | 57 |
| 保湿クリーム | 16,020 | 7.2% | 68日 | 88 |
リピート購入率 = 該当商品群を購入した顧客のうち、同じ商品群を再購入した割合(注文単位)。AOV指数はビタミン美容液の購入注文の決済金額を100とした値。
出てきた数字の読み方 — 4象限でアクションが分かれる
| サイクル短い(〜100日) | サイクル長い(100日以上) | |
|---|---|---|
| リピート購入率 高 | 主力リテンション商品 — ビタミン美容液(27.4% / 76日)。最も価値の高いポジションです。初回購入の流入商品として打ち出し、D+60〜68のリマインドを最優先で設定します。 | 長周期ロイヤル商品 — 緑茶(26.1% / 141日)、シミ・くすみ(25.2% / 124日)、鎮静(23.8% / 129日)。戻ってはきますが、遅いのが特徴です。その間に離脱しないよう、D+105〜135のリマインド+途中でのクロスセルが必要です。 |
| リピート購入率 低 | 離脱チェック対象 — 保湿クリーム(7.2% / 68日)。戻ってくる少数は早く戻ってきます。しかし93%は戻ってきません — 使い切るのは早いのにリピートされないなら、満足度や価格競争力を疑うべき区間です。 | エントリー用・クロスセル対象 — 日焼け止めクリーム(7.7% / 128日)、洗顔フォーム(10.4% / 149日)。単品でのリピートを期待する商品ではありません。低単価のエントリー商品として使い、初回購入の直後に美容液系へ誘導する設計が適しています。 |
商品群によって、リピート購入率は7.2%から27.4%まで3.8倍の開きがあります。境界線ははっきりしています — 機能性有効成分の美容液系は24〜27%、クレンザー・日焼け止め・基礎クリームは7〜11%です。ブランド全体のリピート購入率1つでは決して見えない構造です。
「初回購入商品別のリピート購入率」は落とし穴①にはまります
次に見る画面 — 何をいつ送るかが決まりました。では、それが利益につながるのかを確認します。
PART 07 · 2回目の購入は単価が高い — ただしベンチマークほどではない
Laplaceで見る場所 — ユーザー分析 › 初回購入 / リピート購入 → 指標に客単価を追加

図8. 1回目 =100。Adobeのベンチマーク(+67%)は軸の外です。
| 購入回数 | 全チャネルAOV指数 | 自社モールAOV指数 |
|---|---|---|
| 1回目 | 100.0 | 100.0 |
| 2回目 | 105.8 | 110.4 |
| 3回目 | 110.9 | 116.5 |
| 4回目 | 109.7 | 120.2 |
| 5回目 | 114.3 | 127.6 |
回数が上がるほど客単価は上がります。ただしAdobeが示した+67%とは大きな差があります — この例の2回目購入は+5.8%(自社モール+10.4%)です。5回目まで行っても+14.3%(自社モール+27.6%)です。
ベンチマークとの差が開く理由は2つ考えられます。Adobeの数値は「新規 vs リピート顧客」の平均比較で、複数回購入者が混在しています。また、このブランドは初回購入にセット・企画商品が多く、1回目の客単価がすでに高いのです。重要なのはベンチマークに合わせることではなく、自社の曲線が上がっているかを確認することです。上がっているなら、リピート促進は売上と利益を同時に押し上げます。
自社モールの曲線がより急であることが重要です
PART 08 · コホート画面とは何が違うのか
リピートを見る画面は2つあります。同じデータを異なる軸で切り、異なる問いに答えます。
| 観点 | コホートのリピート購入率 | 購入ジャーニー(ステップ)分析 |
|---|---|---|
| 軸 | 時間(月単位) | 購入ステップ(N回目) |
| 問い | 「3か月後に何%残るか?」 | 「2回目を買うまでに何日かかるか?」 |
| インサイト | リテンション曲線の形、流入の質 | ステップ別転換率・離脱ポイント・サイクル |
| 活用 | コホートの質の比較、月別流入の診断 | CRMのタイミング、エントリー商品の設計 |
| 画面 | コホート分析 › リピート購入率 / 離脱率 / LTV | カスタムダッシュボード › 購入ジャーニー(Sankey) |
Laplaceで見る場所 — コホート分析 › リピート購入率 / 離脱率 / LTV

図9. 行 = 初回購入月、列 = 経過月数。色が濃いほど高い値です。
ここでコホートの値を足して「リピート購入率」として読んではいけません。1人が複数の月にリピート購入すると複数回カウントされるため、合計が100%を超えてしまいます。コホートが答えるのは「今月何%がアクティブだったか」であり、「生涯で2回目の購入まで何%が進んだか」(=42.5%)はステップの軸からしか出てきません。
2つの画面は次のように使い分けます。
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コホート — 月別の流入の質を比較するとき。1月コホートはM1〜M3で24〜26%を維持しているのに、4月コホートはM1が10.3%まで下がっています。その間に広告ターゲットやプロモーション構成が変わったということであり、その時点を見つけて原因を確認する必要があります。
-
ステップ — どこにリソースを投入するかを決めるとき。そしてCRMの配信タイミングを決めるとき。
PART 09 · 4週間の実行プラン
上記のサンプル値をそのまま実行プランに落とし込むと、次のようになります。数字はそれぞれ自社のデータに置き換えてお使いください。
1週目 — 診断(分析のみ)
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ユーザー分析 › 初回購入 / リピート購入で、「購入回数」セグメントを使ってステップ別転換率を出します。最も低い区間が唯一のターゲットです。
-
同じ表を販売チャネル別にもう一度出します。合算値と自社モールの値の差が、そのまま「CRMで改善可能な幅」です。
-
落とし穴チェックリスト4項目を確認します。サイクル中央値0日が見えたら、ここで止めて先にデータを修正します。
2週目 — タイミングの確定
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カスタムダッシュボード › 購入ジャーニーチャートを作り、転換判定期間を30・60・90・180日と変えながら累積曲線を作ります。累積50%の時点と発生密度が最も高い区間を見つけます。この例ではそれぞれ52日、15〜45日です。
-
クロスセルのリマインドは累積50%の時点より前に置きます。この例ではD+28〜38です。中央値に合わせて送ると、半数はすでに他で購入してしまっています。
-
同一商品のリフィルのリマインドは、商品群のサイクル中央値より少し前です。この例では、ビタミン美容液D+60〜68、保湿クリームD+55、長周期の美容液系D+105〜135、クレンザー・日焼け止めD+125〜150です。
-
購入回数ごとにタイミングを分けることはしません(サイクルは回数と無関係)。分けるのはオファーです。
3週目 — 配信
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戦略設計 › ユーザーセグメントで条件を作ります:購入1回+最終購入からN日経過+未リピート。このリストが1→2のハードルの正確な母集団です。
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ユーザー分析 › コンバージョンターゲット抽出でCSVをダウンロードし、カカオトークのお知らせメッセージ(AlimTalk)・SMSの配信ツールにアップロードします。
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最も弱いチャネル(この例では自社モール、27.6%)から始めます。改善の余地が最も大きく、配信手段もここにあります。
-
メッセージは購入した商品別に分ける必要があります。リピート購入率が7〜10%台の商品群には、同一商品のリマインドではなく美容液系のクロスセルを送ります。
4週目 — 検証
-
配信群と非配信群の1→2転換率を、同じ基準(注文単位、同一期間)で比較します。
-
ステップ別の曲線を出し直し、1→2だけが上がったかを確認します。2→3以降も一緒に動いていたら、セグメントに漏れがあります。
-
P & L 分析 › マージン率 / 貢献利益率で、客単価指数の曲線が維持されているかを確認します。割引で転換を買った場合、2回目の指数が100を下回ります — リピートを増やして利益を減らしたことになります。
まとめ
-
リピート購入率は、ステップに分解して初めて意味を持ちます。1つの平均値は、どこに手を入れるべきかを教えてくれません。42.5% → 57.8% → 63.2%と、形はベンチマークと同じで、ハードルは1→2にありました。
-
リソースは1→2にだけ投入します。母集団が最も大きく、転換率が最も低い唯一の区間です。この例では、離脱全体の62%がこの1区間で発生していました。
-
タイミングは累積曲線で決めます。累積50%が52日、発生密度が最も高い区間が15〜45日。同一商品のリピートサイクルは商品群別に68日〜155日(2.3倍の差)なので、クロスセルのリマインドとリフィルのリマインドは時点を分けて設定する必要があります。
-
単位・チャネル・メタデータを先に確認します。分析単位を商品にすると22%良く見え、チャネルを合算すると実力を14.9ポイント過大評価してしまいます。
-
ベンチマークは目標ではなく方向です。27%のベンチマークの1.6倍でしたが、それでも4.1万人を初回リピートの前に失いました。
このレポートを自社データで再現するための最小設定
| 項目 | 値 |
|---|---|
| データソース | 注文(基礎商品注文ではない) |
| 照会期間 | 12か月で固定(年単位) |
| コホート | N回目の購入 =1(生涯初回購入者) |
| 分析単位 | 販売チャネル・決済手段など注文属性 — 商品名/カテゴリー名は不可 |
| 最大ステップ | 6 |
| 返金/キャンセル | 除外 |
| 転換判定期間 | 空欄 → 30 → 60 → 90 → 180日(5回繰り返して累積曲線を作成) |
| チャネル分離 | 販売チャネルフィルターで自社モール / それ以外をそれぞれ1回ずつ |
本レポートの数値は実際の取引データではなく、Laplaceのベンチマーク指標の分布を反映して生成したサンプル値です。特定の顧客企業の実際の数値ではありませんので、絶対値としてではなく傾向を把握する目的でご参照ください。公開研究の数値は各項目に出典を記載しました。画面名や設定項目名は、リリースによって多少異なる場合があります。